本日のブログでは、ウィリアム・モリス・『葡萄』柄の織物生地を使って、3種類の『装飾バランス』を組合わせたコーディネート事例をご紹介いたします。
ファブリックの持つ特性と、縫製の工夫により上飾りの持つ美しさを引き出す提案となっています。
3種類の『装飾バランス』を使って。
リビング・ダイニングでは、幅400cmの大開口窓に3スワッグの『スワッグ&テール』バランスと、奥の小スペースをすっきりと演出する『ストレートバランス』という、ソフトとハードのバランスタイプの組み合わせでお客様の要望に応えました。
続いて、エントランス・ホールの上下窓では、シングルスワッグの装飾バランスをスタイリング。
同一のファブリックを使いつつも、スタイルバランスの表情を変えることで、空間に変化を感じる生み出す試みとなりました。
「ウィリアム・モリス」の葡萄柄。
柄のパターンと
今回、採用いただいた、ウィリアム・モリスの『葡萄』柄は、川島織物セルコンの織物生地より『ラーモ(FF1038)』。
『ラーモ』は、別称:『ヴァイン(葡萄)』という呼び名でも愛されている作品で、1874年にモリス(英国)が製作した壁紙のデザインを織物で表現したもの。
こちらは、別の事例。
『ラーモ』は重厚感のあるしっかりとした厚手のため、カーテンや椅子生地としてもご採用いただくと、縦横方向の糸張りを活かしたシャープな風合いを楽しむことができる生地です。
装飾バランスに用いる場合は、フラット(平面的)とスクエアな意匠性を持つ『ストレートバランス』や『ボッククスバランス』で仕立てるとまとめやすい生地になっています。
「バイアス取り」縫製。
生地の使い方と縫製の特徴。
上飾りのスタイル提案における注意点として、使用する生地の特性確認があります。
生地の組成、硬さと柔軟性、柄域の確認などがそれです。
柔らかい生地であれば比較的自然に生まれる下方向へのなだらかなウェーブ(曲線)も、『ラーモ』の場合は生地が硬いため、生地の「タテ(縦)取り」や「ヨコ(横使い)取り」で仕立てると柔らかいスワッグ(曲線)を出すことが困難で、角ばったフォルムになります。
その様な課題がある中で、今回採用した「バイアス取り」縫製。
張りの強い生地を、縦横方向ではなく斜め方向に引いた時に生まれる特性に着目した縫製仕様で、硬く張りのある生地を使いながら柔らかなスワッグ(曲線)が求められる状況で使われる技術です。
バイアスとは「斜め」の意味で、通常生地はタテ・ヨコ地に対して90度で裁断する生地を、斜め45度に裁断するバイアスカットにより、布目の伸縮性が増す生地の特性を活かした裁断方法と加工をバイアス縫製と呼びます。
生地の縦横へのテンションに対しては抵抗が大きい生地であっても、斜め方向のテンションに対しては意外なほどの柔軟性を持つ特性を利用したもので、身近なところでは、服飾縫製の世界でも使われています。
この縫製手法を組み合わせることにより、身体にフィットするやわらかな着心地ちやしなやかでなめらかなシルエットを得ることができます。
また、生地を斜めに使うため、無地以外の柄物で用いる場合は、スタイルで仕上げた時に感じる違和感の少ない柄である必要があります。
「バイアス」裁ちの実際。
スタイル・デザインをもとに「型紙」を作り、45°の「正バイアス裁ち」を行っている様子。
こちらは、2枚の「正バイアス裁ち」の型を上下に重ねた完成品の裏側と接ぎの様子。
生地の「タテ取り」で仕立たカーテンと左右のカスケード(テール)のシャープな印象と、生地の「バイアス取り」で仕立てたスワッグの柔らかなラインも馴染みも良く、イメージ通りのスタイリングとなりました。
「バイアス取り」に関しては、無地の場合では問題ないですが、大柄やストライプなど直線的なパターンを持つ生地の場合、上飾りには向かない生地もありますので都度確認が必要です。
上下で縫い合せたバイアスのジョイントもスワッグの内側で納めて判りにくくしています。
バイアスを曲線でつなぐ技術は難易度が高く、メーカー縫製では対応してくれません。
当社では特殊なスタイル縫製については実績と信頼のある加工所に依頼しています。
以上、本日は複数の『スタイル・バランス』を組み合わせたスタイリング事例を、生地の特性と縫製仕様の組合せを交えてご案内させていただきました。
◆ 当社 ・「装飾バランス」の特集ページを見る。
https://www.mitsuwa-i.com/balance.htm
◆ 当社・『輸入カーテンの特集ページ』を見る。
https://www.mitsuwa-i.com/inhouse-2.html
◆ 当社・『オーダーカーテン』の特集ページ を見る。
https://www.mitsuwa-i.com/sub2.htm
ミツワインテリア: https://www.mitsuwa-i.com
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