本日は、カーテンの裾を床までたっぷりと垂らした「ブレイク・スタイル」より、『Puddling(パドリング)』と呼ばれるスタイルを採り入れた、階段・廊下窓のスタイル事例をご紹介いたします。
カーテンの裾を長めに仕立てるスタイルは、ヨーロッパでは昔から馴染みのあるスタイルで、防寒上の理由や、生地の収縮を考慮して長めに仕立てるといった理由以外にも、裾の長いドレス仕立てを思わせるエレガントなスタイルで仕立てることにより、窓辺やインテリアの演出効果を高めたい場合に使われています。
ブレイクの度合いも様々で、床に僅かに触れる程度の「touching」、3cm程度裾がひこずる「braking」、裾を箒(ほうき)に見立てて床を掃く程度の長さで仕立てる「sweeping」、裾がしっかりと床に溜まる長さで仕立てる「puddling」などの呼称が代表的で、更にその度合いやスタイルの特徴によって様々な形容が加えられる場合もあります。
今回ご紹介のスタイルは、裾をたっぷりと床に垂らして、空間デザインとして演出した本格的な「puddling」スタイルです。
廊下のカーテンは「Puddling」スタイル。
階段・途中窓の丈とのバランスを考えて。
まずこちらは、階段周りの窓でのスタイル事例。
お客様からいただいたご要望は、もっぱら開閉をしない窓を、生地の持つ風合いと柄の美しさ、そしてドレッシーな印象となる「ブレイク」スタイルの組合せでエレガントな飾り窓に仕立てたいというもの。
装飾性を最優先させる窓のため、裾の美しさにもこだわるスタイルで美しさを追求することになりました。
階段を上がったところにある廊下窓でのスタイリング。
レースは高さは床に触れない程度で仕立てていますが、カーテンは床に垂らしたドレス仕様です。
現地お打ち合わせにてお客様のピンとくるイメージでお仕立てしています。
続いて、階段上の窓と並ぶ「踊り場」上の窓のサイズを決めます。
こちらは、木製の手摺りににとらわれない長さでも良いということになり、2つの窓の連続性とバランスを重視した仕立てを考えました。
納品後の様子。
2つの窓は同じ規格で並んでいますが、設計上は「出入り窓」と「途中窓」という異なる用途の窓としての役割と配置になっています。
階段「途中窓」では、カーテンの裾がブレイクしないためレースの丈を伸ばしていますが、カーテンの丈自体は2つの窓ともに同サイズで仕立てています。
「出入り窓」のカーテンのみブレイクさせていますので、「装飾タッセル」の位置を調整して、2つのスタイルバランスを調整しています。
ベルベットとレースの融合デザイン。
フジエテキスタイルの『タゴト』でドレスアップ。
ここで、今回ご採用したウィンドウ・アイテムのご紹介。
前幕にご採用いただいた生地は、フジエテキスタイルのPF1719『タゴト』よりBR色。
生地のデザインは20世紀初頭から使われ始めたモザイク風の幾何パターンですが、『タゴト』は傾斜地などで見られる、小さく区切られた「棚田」をモチーフとして描いた柄で、水田1つ1つに映る「田毎の月」などの表現もコンセプトにあるデザインです。
当社ではPF1719(SB)色の縫製展示品と(BR)色の生地見本をご用意しております。
細やかなスクエアの意匠は、毛の流れをランダムにしており、光の当たり方によって生地の表情に変化が生まれます。
『タゴト』はサンドベージュ(SB)とブラウン(BR)の2配色ですが、それぞれが独特の発色と雰囲気を持っているため、幅広いインテリアシーンでコーディネート可能です。
『タゴト』の表側。
「バーンアウト・プリント」技法で作られた『タゴト』の持つ、レースが持つ透過性と起毛豊かなベルベットの輪郭対比を楽しむことができます。
そして『タゴト』の裏側。
裏側ではベルベットの気配が輪郭線だけになるため、レースが持つ透過性とフラットな印象の『タゴト』のデザイン対比をすっきりとした印象で楽しむことができます。
最後に、店内外から撮影した比較イメージ。
日中であれば、外から見ても窓に景色が映りこむため室内の様子はほとんどわかりません。
柄の隙間は透け感のあるレース地となっているデザインのため、光りを採り入れる1枚掛けとしてはもちろん、部屋の「間仕切り」としてもお使いいただける、個性的なテキスタイルです。
ロープタッセルトシアーで
『タゴト』をエレガントにドレスアップ。
そして、『タゴト』の後幕となるレースには、生地の持つ自然な縦じわにチンツ加工で表現した上品な光沢感をミックスさせた、カラーレースより「グレー」色を組み合わせて、重なり合う複雑な採光と陰影を楽しめるスタイリングをイメージしました。
廊下の「小窓」もダイナミックにまとめて。
最後に、廊下の突き当りにある「小窓」も、階段周りの窓と同じ丈で仕立てて、空間全体を優雅でダイナミックに見せるスタイルコーディネートが完成しました。
途中窓も『Puddling(パドリング)』スタイルでドレッシーな窓辺を演出すると共に、窓幅の狭さを考慮して、タッセルの位置を高めにしたスタイルでまとめました。
以上、本日はカーテンの裾を床までたっぷりと垂らした「ブレイク・スタイル」の魅力を、スタイル・アレンジの工夫とともにご紹介させていただきました。
『Puddling(パドリング)』スタイルはドレッシーなのです。
◆ 当社・『輸入カーテンの特集ページ』を見る。
https://www.mitsuwa-i.com/inhouse-2.html
◆ 当社 ・「装飾バランス」の特集ページを見る。
https://www.mitsuwa-i.com/balance.htm
ミツワインテリア: https://www.mitsuwa-i.com/
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