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ウィリアム・モリスの壁紙とファブリックを組み合わせたインテリアリフォーム事例。
こちらは、築10年のタワーマンションにお住いのお客様からご依頼いただいた内装リフォーム事例。
玄関からリビング・ダイニングに続く生活動線とトイレの壁装を、無地のビニール壁紙からウィリアム・モリスの輸入壁紙にリニューアルし、窓辺にモリスの作品を用いたファブリックをコーディネートさせていただきました。
ウィリアム・モリスの輸入壁紙を組み合わせて
玄関・廊下・LDでご採用いただいた壁紙は、 2018年に発表された『PURE MORRIS NORTH WALLPAPERS』に収録の「Pure Brer Rabbit 」。


邦名:「兄弟うさぎ」としても知られる2色使いのこの壁紙、カラーバリエーションは5配色ありますが、今回の採用色は、やわらかなピンク地に白色のインクで描いたフェイドシーピンクの216533。
コントラストを抑えた控えめな配色ですので、無地から柄物の壁紙に張り替えられる方にも違和感なく受け入れることができます。
甘すぎないピンクはグレーの表情を持っており、女性にも人気のカラー。
ダウンライトなど、間接照明との相性も抜群です。
続いて、トイレの壁装にご採用いただいたのが、「Mary Isobel(マリー・イザベル)」です。
ファブリックとしても人気の高いこの柄は、壁紙としても根強い支持があり、カタログ『MORRIS ARCHIVE WALLPAPERS III』では、4配色のバリエーションで紹介されています。
オリジナルデザインは1890年代、ウィリアム・モリスの一番弟子として知られるジョン・ヘンリー・ダールによるもので、バラやチューリップ、アカンサスの葉が木々に絡みつく華やかな構図を、3重の刺繍として表現したものです。
繊細なライン使いや刺繍ステッチの美しさを、壁紙プリントで巧みに再現しているのが特長です。
今回は、トイレ内の空間構成を活かし、**214729(マリー・イザベルのグリーン系カラー)**に、オリーブ色の無地壁紙を腰壁として組み合わせることで、限られた空間に奥行きとメリハリを持たせる演出が可能となりました。
リビングの窓には「ピンパーネル」
カーテンボックスをストレートバランスでドレスアップ
壁紙のご相談と同時進行で進めたのが、ファブリックの選定です。
眺望の美しいタワーマンションのLD窓では、ご入居以来10年間、カーテンやレースを使用せずとも特に不自由は感じられていなかったとのこと。
唯一、冬場の冷気が少し気になる程度だったそうですが、今回の壁紙貼り替えにあわせて「カーテンもコーディネートしてみたい」とのご希望をいただきました。
そこで、お客様のお好みであるウィリアム・モリス作品の中から数点をピックアップし、縫製済みの展示サンプルをお持ちして、ご自宅にて実際にご覧いただきながらご選定いただく流れとなりました。

そして最終的にご採用いただいたのは、ウィリアム・モリスが1876年に手がけたデザイン『ピンパーネル』より、赤みを帯びたピンク色の織物です。
『ピンパーネル』は、モリスの自邸として知られる「ケルムスコット・マナー」のダイニング壁面装飾として描かれたデザインが原案となっており、ファブリックとしても高く評価されている作品です。
このデザインは、モリスが好んだ左右対称(シンメトリー)構成の中に、渦を巻くように伸びるルリハコベ(ピンパーネル)の植物柄が描かれており、今回室内の壁紙として採用された『兄弟うさぎ』とも調和のとれた相性の良い組み合わせとなりました。

壁紙仕上げのカーテンボックスに柄の一部を抽出表現することで作品の持つ魅力を引き立てたいということになり、ストレート(フラット)仕立ての装飾バランスを組合わせることになりました。

こちらは実際に抽出した柄域とオーダーにおけるサイズイメージ。
そして、イメージ通りに出来上がった納品時の様子。
今回は、ウェーブ(ヒダ)のあるカーテンにフラット使いの「ストレートバランス」を組合わせることで、作品の持つ世界観を際立たせることができました。
レースがなくても不自由のない窓は、日中はその眺望の素晴らしさが際立っていましたが、
日没後の窓辺は、まるでガラスのショーケース越しに宝石を眺めるかのような、優美で静謐な雰囲気に包まれました。
タッセルには、作品と相性の良い装飾タッセルをご提案。


リフォームを終え、タージ・マハールでお求めになった象嵌細工のテーブルや大理石彫刻などの嗜好品が、より一層の存在感を放つようになり、お客様にも大変ご満足いただくことができました。
納品のたびに感じることですが、ウィリアム・モリスの作品には、お客様がお手持ちの愛用品の価値を引き立てる不思議な演出力があります。
そして同時に、日常の生活空間を精神面からも豊かに包み込んでくれる──そんな自然のぬくもりと気品を、改めて再発見する機会となりました。
ミツワインテリア:https://www.mitsuwa-i.com/