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現場所見
マンションの角部屋、北側に面した部屋は結露や・カビが発生しやすくなります。湿式工法である「GL工法(後述)」が採用されたマンションの内装壁施工の場合は、断熱材を使用されないケースが多く、石膏ボードの内部結露やカビの大量発生などが常に起こりやすい環境にさらされています。恐らく、今回の現場のカビ面はGL工法による仕上げでしょう。部屋中にカビの臭気が充満しており、マスク無しで現場に20分もいると咳き込むような状態になりました。部屋中に浮遊するカビの胞子は、肺や眼球に悪影響を及ぼしますので、我々専門家でも工事の際は、マスクとゴーグルを欠かせません。実際問題、住まわれる方だけでなく、リフォームに携わる者も注意と予防の必要があると考えます。 |
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壁面の表面仕上げの選定
築10年のマンション角部屋のコーナー壁は、家具なども置かれていたため、換気が特に不十分となり、大量のカビが発生していました。表面結露が発生していました。
当社特選の防かび剤を使用した、防カビ・コーティングリフォームを行えば、効果的にカビに対してのトラブルが改善されますが、「結露」に対しては解決にはなりません。この様な場合には、カビ面以外の周辺壁に「調湿機能性タイル」を貼っても万全ではないでしょう。また、カビ面に対して「調湿機能性タイル」を直接施工することはおすすめできません。理由は、調湿機能性タイルの吸湿機能ばかりが働き、常に湿度が溜まりやすい環境(結果としてカビが発生)になってしまうからです。調湿機能性タイルといえどもカビの発生を完全に妨げるものではないのです。 |
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断熱下地の検討
カビの大量発生していた石膏ボードに、ボード専用のノコギリで開口を試みると、内部結露により容易に開口できました。案の定、壁の内部は、コンクリートにGLボンドを圧着して壁面下地を形成する「GL工法」が採用されていました。GLボンドの団子厚は、コーナーをはさんで右側が12mm前後、左側が25mm前後の厚みとなっていました。その上に12mm厚の石膏ボードが貼られている仕上げのため、断熱材(50mm)を石膏ボード内部に施工するためには、窓枠(木枠部分)の厚みを付け足す必要があります。また、断熱材の厚み分だけ壁面が室内寄りになることをお客様にご説明して、防カビだけでなく内部結露(湿度対策)を加味した長期間の耐久に耐えうる本格リフォームを行うことになりました。 |
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下地の解体
大量なカビの発生していたコーナー壁面を撤去すると、「GL工法」の施工した地面が姿を現しました。
『GL工法』」とは?
RC工法の建物の内装に使われる湿式の石膏ボード直貼り工法の呼称で、「じーえるこうほう」と読む。長所としては、コンクリート躯体面に多少の不陸があっても調整でき、左官補修よりもコストが安く工期が短いので一時期マンションの内部コンクリートメンの仕上げとしてよく使われた。モルタルのようなGLボンドを一定のピッチに団子状に塗りつけ、壁とある程度の間隔を取って石膏ボードを圧着して仕上げる湿式工法をいう。
ただ、建物内部の水分を多く含んだ空気は換気が出来ず、室内と室外の温度差により内壁面で結露し、湿式のGLボンドを伝わり内壁の仕上げ材である石膏ボードへと吸収され、カビを発生させる問題がある。
(施工拡大)
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防カビコーティングと発砲ウレタンの充填
コンクリート面に、防カビコーティング(コンクリート下地用)を行ったのち、窓枠周辺の溝部分に発砲ウレタンを充填し隙間部分の断熱を強化します。 |
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・・・窓の木枠の増設
コンクリートと石膏ボードを圧着していた「GLボンド」の厚みが12〜25mmであるため、その中には結露対策に必要な十分な断熱材を挿入することが出来ません。断熱材は厚み25mmでは十分とはいえないためも50mmを採用しました。断熱材(50mm)を石膏ボード内部に施工するためには、窓枠(木枠部分)の厚みを付け足す必要があります。また、断熱材の厚み分だけ壁面が室内寄りになることりなります。増設された木枠部分は塗装により同一色に仕上げます。
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間柱の設置
断熱材施工の第1段階としてまず、縦方向に厚み30mmの間柱を立てます。間柱はGLボンドに直接打ち込み、その間に断熱材をはめ込んでいきます。 |
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断熱材の挿入
一層目の断熱材の厚みは25mm。間柱の間に隙間なくしっかりとはめ込んでいきます。 |
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根太の設置
断熱材施工の第2段階では、横方向に厚み30mmの間柱を立て、その間にさらに厚さ25mmの断熱材を上貼りします。これにより強固な断熱下地を完成させていきます。 |
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根太の設置
上貼りの断熱材は下層の断熱材にクロスさせて格子状に貼りあげます。これにより強固な断熱下地が形成されます。 |
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断熱材施工の完成
上貼りの断熱材が隙間なく貼りあげられた状態です。 |
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窓枠(木枠)の仕上げ
窓の木枠は断熱材に合わせて50mm室内側に増設しました。片側FIXのL字窓のため、2重(ペアガラスの)サッシの導入を行いませんでしたが、ぺガラスの2重サッシを設置すると窓面からの結露も軽減させることができます。2重サッシはさらに、防音効果や、断熱効果による消費電力の省エネルギー化にも有効です。 |
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石膏ボード貼り
根太内された木枠に、石膏ボードを貼って壁下地を完成させます。ボードのジョイント部分はクラック防止の強力ファイバーテープを貼りました。 |
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壁下地仕上げ
ファイバーテープ設置面や、ビス打ち箇所に対して、下地平滑材を施して壁下地を完成させます。下地平滑材(パテ)には、当社特選の防カビ材を混合させています。 |
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・・・吸放湿製壁紙の施工
一晩、十分に乾燥させた下地壁面にいよいよ防カビ対策壁紙を施工します。吸放湿性壁紙は水分の浸透性に優れているため、防カビ剤を浸透させることにより更なる防カビ効果を期待できます。 |
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防カビコーティング
当社が特選する防カビ材の成分は(財)日本食品分析センターの厳格な検査を受け、その安全性が証明されたもので、カーペットや畳、カーテンなどにも安心して塗布することができる安全性の高いものです。吸放湿性壁紙にしっかり練りこむように吹きつけ(拭きあげ)します。この作業を場所により2〜3回丁寧に繰り返していきます。 |
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フロア施工
リフォーム前の床面は、カビと結露のしたたりで、汚損が気になったため、今回は同系統のフローリング柄のビニールシートでリニューアルすることになりました。予算と工期があればフローリングの貼り直しも可能です。同時に壁面が50mm室内寄りとなったので巾木(床と壁の間の見切り板)を新しく新設しました。
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窓枠の仕上げ
50mm増設された木枠部分を含む窓枠を、濃茶の塗装で仕上げました。
また最近では、「後付タイプのインナーサッシ」も普及してきております。種類も、「樹脂+断熱ペアガラス」タイプのものから、手軽にご採用いただける「オール樹脂(プラスチック+ポリカーボネート板」構造」のものまで幅広くございます。
「防カビ」リフォームにより、手前に増設した予備寸法を活用して、この「インナーサッシ」が効果的に併用できますので、窓周りの結露対策として、併せてご検討下さいませ。 |
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完成
今回の様な本格的なリニューアル施工を行うことにより、「開かずの間」の様な状態になっていた危険な居室も、快適な住空間へと変わっていきます。
・(居室の広さと作業内容によって異なります)
(壁2面解体・撤去+防カビ材処理、窓枠増設、,壁2面・断熱施工+石膏ボード貼り、吸放湿壁紙工事+防カビ剤処理、巾木設置、窓枠塗装、フロア工事などを行った場合)
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